ことばのトリセツ
「~のトリセツ」という言葉にはどこかで聞き覚えが…
そう、こちらの「ことばのトリセツ」は、
ベストセラーにもなった「妻のトリセツ」の作者である黒川 伊保子さんの著書。
本書の帯のキャッチコピーにて「大切なのは”意味”より”語感”」と言い切っている通り、
ことば(=語感)のトリセツ本です。
黒川さんは人工知能研究者、脳科学コメンテイター、感性アナリストという肩書を持ち、
AIの研究から世界初の語感分析法「サブリミナル・インプレッション導出法」を開発、
マーケティングの世界に新境地を開拓した、語感分析のプロでもあるのです。
語感、つまりは音の響きですが、なんとも不思議ですよね。
「ことばのイメージは音で決まる」と黒川さんが提唱している通り、
それぞれの音でイメージするものは異なります。
例えば「かきくけこ」「たちつてと」K音、T音は硬くて真面目、
「さしすせそ」S音は風が通り抜けるようなさわやかさ、
「まみむめも」M音はやわらかくやさしい。
「ゴジラ」「キングギドラ」…怪獣に多い濁音の名前は大きくて重くて強そう…などなど。
「名は体を表す」とも言いますが、人の名前だけではなく、社名、サービス名、商品名…名づけた音の響きの組み合わせによって、そのものの印象を左右することもあります。
「コシラ」「キンクキトラ」だったらなんだか一気にかわいらしくなりますしね。
様々な語感について解説されているこの本。
例えば弊社のイデア(イタリア語で『アイデア』の意味)という社名を本書の解説にあてはめると…
「イ」…素朴で親密感がありながらどこまでも前向き。心根の一途さや一生懸命さ。
「デ」…ブランドネームに迫力と重々しさを与える濁音。
「ア」…自然体。リラックス。ニュートラル。始まり、愛らしさ。
こうみてみると、それぞれ異なるイメージの音が組み合わされている言葉なのですね。
「イデ」だけだと短い音ながらとても力強く、どっしりした印象を受けますが、
最後に「ア」が入ることで解放感や軽やかさのイメージが加わり、バランスがよくなります。
そのまま「アイデア」、はたまたフランス語表記を採用して「イデ―」という会社名だったら…
語源は同じはずなのに連想するイメージが変わるのが面白いです。